ヨーロッパで将来ディーゼル車を廃止の理由

ヨーロッパ諸国は、これまで二酸化炭素の排出量を減らす取り組みを進めてきました。この取り組みの中で、ガソリン車と比較して、低燃費で二酸化炭素の排出量も少ないディーゼル車に対して税制を優遇するなどして、販売の促進を後押しました。

そのため、ディーゼル車の販売比率が5割(EU15か国合計)を上回る時期もありましたが、2016年には5割を割り込むようになってしまい、将来的はディーゼル車を無くす動きがあります。ヨーロッパ諸国ではなぜ、ディーゼル車を無くそうとしているのかを紹介します。

ディーゼル車が減少する理由は排出ガス問題が原因

ディーゼル車から排出されるガスには、多くの窒素酸化物や粒子状物質が含まれています。ヨーロッパ諸国では、この窒素酸化物や粒子状物質による大気汚染が深刻化しています。

このようなことから、ヨーロッパの主要都市では、ディーゼル車の乗り入れ規制が広がっています。

更に、ヨーロッパの自動車メーカーによるディーゼル車の排ガス不正問題が発覚ししたこともあって、ディーゼル車離れが加速しているといわれています。

ディーゼル車の排出ガスに含まれる窒素酸化物や粒子状物質とは?

窒素酸化物は、ノックスともいわれ、一酸化窒素をはじめ、二酸化窒素、亜酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素などの総称です。

窒素酸化物は、光化学スモッグや酸性雨など大気汚染の原因となっている物質だといわれ、中でも二酸化窒素は肺から吸収されやすく、体内では強力な酸化作用があり細胞を傷害します。

このことが、気管支炎や肺水腫の発症の原因になるといわれています。一方、粒子状物質は、マイクロメートル単位の小さな粒子のことです。

粒子状物質は、主に燃焼で発生するすすや排気ガス以外にも、風によって舞い上がって浮遊する土壌の粒子、生産工場などで排出する粉塵、石油の揮発成分が空気中で変質した粒子などが含まれます。

粒子状物質は呼吸器系に入ると健康に影響があることは知られています。微小粒子状物質の中でもPM10やPM2.5といった物質は、高濃度になるほど呼吸器の疾患などによる死亡率が高まるといわれています。

ご紹介したようにディーゼル車の排出ガスに含まれる窒素酸化物や粒子状物質は、健康に影響があることは、明らかになっており、ヨーロッパ諸国では、ディーゼル車に対して逆風が吹いています。

ヨーロッパの自動車メーカーの戦略転換でディーゼル車は消滅?

排気ガスの問題で、ヨーロッパ諸国では今後、ディーゼル車の排気ガスの規制が強化されることが予想されます。

そのため、排気ガスの規制に対応するコストは、ヨーロッパの自動車メーカーにのしかかるようになります。更に、厳しくなるディーゼル車の排気ガスの規制に対応する技術の向上にも限界が見えてきたといわれています。

このような逆風の中、ディーゼル車をメインに展開してきたヨーロッパの自動車メーカーは、戦略の転換が必要となり、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)の市場導入を加速させています。

更に、ハイブリッド車と比較して、コストがかからない48V マイルドハイブリッド車が本格的に市場に投入される予想です。プライグインハイブリッド車(PHEV)が、通常のハイブリッドと異なる点は、充電することでモーターでの走行が可能なことです。

近距離の買い物などでは、プラグインハイブリッド車を充電することでモーターによって走行すれば、エンジンは停止しているので、排出ガスは大気中に放出されません。

更に、モーターで走行することで、エンジンから発生する騒音がなく静かなので、早朝や深夜の出発や帰宅であっても、近所に騒音による迷惑がかからないというメリットがあります。

プラグインハイブリッド車は、ヨーロッパの自動車メーカーでは、フォルクスワーゲン・Golf GTEの他、BMW・ X5 xDrive40e、ボルボ・XC90(PHEV)といったモデルが有名です。

モーターによる走行距離は、フォルクスワーゲン・Golf GTEが45㎞、BMW ・X5 xDrive40eは30.8km、ボルボ・XC90(PHEV)は40.4㎞となっています。

日本の自動車メーカーでは、プリウスPHVやアウトランダー(PHEV)といったモデルが有名です。モーターによる走行距離は、プリウスPHVは68.2km、アウトランダー(PHEV)は65㎞となっています。

日本の自動車メーカーのプラグインハイブリッドのほうが、モーターによる走行距離が長いことが分かります。

一方、電気自動車は、主に二次電池の電気を使いモーターを動力源として走行する自動車のことです。電気自動車はもともとエンジンは搭載されていませんので、排気ガスは放出されませんので大気汚染の心配はありません。

ガソリン車と比較して、低回転域から大きなトルクを発生させることができるので、街乗りで快適に走行できる電気自動車が多いです。また、電気自動車で使う電気代はガソリン車で使うガソリン代より安いといわれていますので、ランニングコストも抑えられるというメリットがあります。

電気自動車は、ヨーロッパの自動車メーカーでは、フォルクスワーゲン・e-Golf、シトロエン・Eメアリ、ルノー・カングー Z.E.などが有名です。一充電走行距離は、フォルクスワーゲン・e-Golfは301㎞、シトロエン・Eメアリは200㎞、ルノー・カングー Z.E.は270㎞となっています。

電気自動車は、日本の自動車メーカーでは。日産・リーフ、三菱・i-MiEV、日産・e-NV200などが有名です。一充電走行距離は、日産・リーフは570km、三菱・i-MiEVは164km、日産・e-NV200は300kmとなっています。

一充電走行距離は、日産・リーフが吐出していることが分かります。

ご紹介したように、ヨーロッパの自動車メーカーは、ディーゼル車の排気ガスの規制強化に対応するコストアップや技術の限界といった問題点の克服は難しいと考え、プラグインハイブリッド車や電気自動車にシフトしようとしており、近い将来、ディーゼル車が消滅する可能性があります。

もちろん、日本の自動車メーカーもディーゼル車への逆風をチャンスとみて、新しいプラグインハイブリッド車や電気自動車をヨーロッパの自動車市場に投入することを考えるでしょう。

日本とヨーロッパの自動車メーカーでプラグインハイブリッド車や電気自動車のシェア争いが激化すればするほど、ディーゼル車の減少は加速し、いずれ消滅する可能性もあります。

まとめ

ヨーロッパ諸国ではなぜ、ディーゼル車を無くそうとしているのかを紹介しましたが、理由は大きく2つあります。

1つ目は、ディーゼル車から排出されるガスによって、大気汚染が深刻化しており、ディーゼル車の乗り入れ規制が広がっている上、ヨーロッパの自動車メーカーによるディーゼル車の排ガス不正問題が発覚したので、ディーゼル車が敬遠されつつあるためです。

2つ目は、ヨーロッパ諸国ではディーゼル車の排気ガスの規制が強化される可能性があり、ヨーロッパの自動車メーカーは、排気ガスの規制に対応するコストが増加したり、技術の向上に限界が見えてきたりしたので、プラグインハイブリッドや電気自動車にシフトしはじめたためです。